2023.10.24

ミッドセンチュリーとは?1950年代にブームとなったデザインの特徴

部屋をコーディネートするにあたって、大切なのはコンセプトです。一貫したコンセプトで部屋作りを行えば、インテリア選びでも迷うことがないため、まとまりのある空間に仕上げられるでしょう。

今回は、おすすめのコンセプトであるミッドセンチュリーについてご紹介します。ミッドセンチュリーの歴史や代表的なインテリア、コーディネートのポイントも一緒に取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。

ミッドセンチュリーとは

最初に、ミッドセンチュリーに関する基礎知識について解説します。ミッドセンチュリーの歴史や、代表的なデザイナーについて順番にチェックしていきましょう。

発祥の地

ミッドセンチュリーとは、直訳すると1世紀の中間という意味で、主に1940〜1960年代のインテリアや、それらを用いてコーディネートするスタイルを指す言葉です。現代でもインテリアのカテゴリとして高い人気を誇るミッドセンチュリーは、アメリカで生まれました。第二次世界大戦終了後、各地からアメリカへ多数の兵士が帰還し、住宅需要の向上と同時に家具需要も高まったのがきっかけです。

当時のアメリカは、第二次世界大戦の戦勝国であり、戦時中に自国が戦地にならなかったため、産業の復帰がほかの国より早くできました。とくに大量生産に特化した製造業は、以降もアメリカの主力産業となります。また、戦時中のアメリカでは、軍需産業によってプライウッドやFRPこと繊維強化プラスチックなどの新素材の開発や加工も発展しており、それら新素材や技術は戦後アメリカのインテリア開発にも応用され、ミッドセンチュリースタイルの基礎となりました。

ミッドセンチュリーインテリアが急速に広まったのは、新しく登場した素材の加工のしやすさと大量生産を可能にしたアメリカの工業力が要因です。従来の伝統的な手法で製造された家具や雑貨と比較して、シンプルでデザイン製も高く、しかも丈夫なミッドセンチュリーインテリアは、現在でもインテリアコーディネートの定番そして存在感を放っています。

代表的なデザイナー

ミッドセンチュリーが流行した1940〜60年代は、アメリカで多くの優れたデザイナーが登場しました。そして、彼らの仕事は現在のミッドセンチュリーインテリアに大きな影響を与え続けています。

たとえば、ミッドセンチュリーインテリアのデザイナーとして真っ先に名前を挙げられる存在が、イームズ夫妻ことチャールズ・イームズとレイ・イームズです。新素材であるプライウッドの研究と開発、そしてプラスチックやファイバーグラス、ワイヤーなどを使用したインテリアを製作し、モダンデザインのパイオニアとして活躍しました。

また、インテリア制作のみならず、建築や映画製作、写真、グラフィックデザインでも多数の作品を世に送り出しています。そんなイーズム夫妻の人気にも一役買ったジョージ・ネルソンも、当時デザイナーとして大活躍した人物の一人です。

ネルソンベンチと呼ばれ、現在でもモダンデザインの象徴として愛されているプラットフォームベンチ、文字盤が球体になった個性的なデザインのボールクロック、そして一度見たら忘れられない遊び心満載のマシュマロソファといった名作を生み出しながら、ハーマンミラー社を世界的な家具メーカーへと成長させました。

日本人の父とアメリカ人の母から生まれた日系アメリカ人であるイサム・ノグチも、ジョージ・ネルソンが見出したデザイナーの一人です。芸術家としても活躍しながら、岐阜提灯にインスパイアされ製作された代表作AKARIシリーズなどを世に生み出しました。

ミッドセンチュリーの代表的な家具

ミッドセンチュリースタイルのインテリアと聞いて、具体的な家具を思い浮かべられる人は少ないでしょう。しかし、身近なインテリアがミッドセンチュリーの代表的な家具の場合もあります。

たとえば、ローテーブルはミッドセンチュリースタイルの定番アイテムです。ナチュラルテイストの木目調のローテーブルが好まれやすいですが、ミッドセンチュリースタイルを全面に押し出す場合はガラス天板のアイテムを選択しましょう。取り扱っている店舗も多く、お気に入りの一点を見つけやすいのも嬉しいポイントです。

また、壁の装飾もミッドセンチュリーを代表するアイテムが多数存在します。ボールクロックに代表される個性的な形をした時計や鳥の形をした壁掛けなど、ウォールデコの種類は多種多様です。ほかにも、ソファやカーテンもインテリアに統一感を持たせてくれるため、積極的に取り入れるのをおすすめします。

ミッドセンチュリーの特徴

現代でも愛されているミッドセンチュリーインテリアですが、ほかのインテリアとは一味違った特徴を有しています。そんなミッドセンチュリーインテリアの特徴について、順番にチェックしていきましょう。

デザインに丸みがある

ミッドセンチュリースタイルのインテリアは、デザインに丸みがあるのが特徴です。今でこそ曲線的なフォルムのインテリアや雑貨は一般的な存在ですが、20世紀半ばまでは素材や技術力の問題で、曲線を用いたデザインのインテリアの製造は困難でした。

しかし、今まで存在しなかった木材の合板加工やプラスチックの登場によって、状況が一般します。丈夫で使用感も良好な新素材がインテリアの材料として取り入れられ、加工技術も向上したことで直線以外のデザインを実現できるようになったのです。

曲線と新素材を組み合わせた近未来的なデザインのインテリアは、その目新しさと斬新さで一気に人気となりました。そのため、現在でも曲線はミンドセンチュリースタイルを象徴する特徴として挙げられます。

ビビッドカラーが使用されている

ビビットカラーが多用されているのも、ミッドセンチュリーインテリアの特徴です。色は時代を反映するともいわれており、長く苦しい戦争の時代を乗り越え、これから明るい未来に向かって歩き出そうという意識が、開放的かつ明るい色を流行させたのかもしれません。

また、当時アメリカでポップアートやミニマルアートが流行したのも理由と考えられます。ポップアートとは現代芸術のジャンルの1つで、とくに大量消費、大量生産の時代をシニカルに表現した作品が多いです。

当時は珍しかった大衆的な題材とポップで明るい色合いが人々に受け、芸術ジャンルとしての地位を確立することに成功しました。その流れを受けて、当時のデザイナーたちも明るく華やかなカラーを積極的にインテリアに取り入れたと思われます。

ミッドセンチュリー調にするコツ

ミッドセンチュリースタイルで部屋をコーディネートするにあたって、押さえておきたいポイントをご紹介します。初心者でもコツを知っておけば理想の空間を作り出せるため、ぜひ覚えておきましょう。

ポイントとなるカラーを決める

ミッドセンチュリースタイルの部屋を作るにあたって、最初にポイントとなるカラーを決めるのをおすすめします。ビビットなカラーはミッドセンチュリーの特徴です。赤や黄色など明るくポップなカラーは、部屋に取り入れるだけで不思議と気分が明るくなります。

しかし、鮮やかなカラーを複数採用してしまうと、部屋全体がごちゃごちゃした印象になってしまうため、落ち着いて過ごせる空間には仕上がりません。そのため、部屋のアクセントとして、あらかじめ色の数を絞っておきましょう。どのインテリアでワンポイントのカラーを取り入れるか迷った場合は、種類が豊富なチェアがおすすめです。

四角形よりも円形の家具を選ぶ

インテリアや家具は、四角形ではなく円形のフォルムのものを選択しましょう。ミッドセンチュリーの特徴といえば、ビビットカラーと曲線的なデザインです。

曲線を用いたフォルムのインテリアは近未来感を感じさせ、ミッドセンチュリーのテイストにマッチしています。全体の雰囲気もまとまるため、積極的に取り入れていきましょう。

おすすめのアイテムは、楕円や円形のローテーブルです。また、マシュマロソファのような円を効果的に活かした家具を選択するのもよいでしょう。

無機質素材を調和させる

ミッドセンチュリーのインテリアを取り入れる場合は、無機質素材の調和を意識しましょう。ミッドセンチュリースタイルのインテリアは、プラスチックやガラスなど人工的な素材が使用されているケースが多く、産業的なデザイン性が強いスタイルです。そのため、硬く冷たい印象を与えないように、ウッド調のアイテムと調和させながら部屋をコーディネートしましょう。

モダンテイストにする

ミッドセンチュリースタイルの部屋を作る際は、モダンテイストに仕上がるように意識しましょう。内装を都会的なデザインで仕上げつつ、部屋のアクセントになりそうなインテリアや壁紙を取り入れるのがおすすめです。

ちなみに、モダンテイストには落ち着いたデザインとモダンポップと呼ばれる明るい雰囲気のデザインがあります。モダンポップを取り入れる場合は、明るい色を選択しつつ全体がシンプルに仕上がるように意識しましょう。

部分的にレトロフューチャーを取り入れる

小物や壁飾りなど、部分的にレトロフューチャーを取り入れると遊び心が感じられる部屋に仕上がります。小物は面積が小さく、気軽に採用できるのが大きなメリットです。また、あえてポップなカラーリングのアイテムを選べば、差し色としての機能も期待できるでしょう。

おすすめのアイテムは、プラスチックの小物入れやブリキ看板などです。そのほかにも、ポップアートのポスターや絵画もよりミッドセンチュリーらしい雰囲気を作り出してくれます。

照明にもこだわる

インテリアだけでなく、照明にもこだわりましょう。ミッドセンチュリースタイルは、シンプルなデザインのアイテムが多いです。そのため、選択する照明によってミッドセンチュリーの雰囲気が崩れてしまいます。

たとえば、ペンダントライトやアームライトを採用すれば、ミッドセンチュリーらしい空間に仕上がりやすいです。また、シックな雰囲気にしたい場合は、照明の明るさを落とすなど、照度にも手を加えてみましょう。

ここまでミッドセンチュリーの特徴について解説しましたが、こちらではインテリアやデザインに興味がある方に、地域や時代に分けたスタイルを紹介していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

近未来的なデザインとレトロな雰囲気が魅力的なミッドセンチュリーは、現在でも多くの人から支持を集めているスタイルです。

配色やインテリアの選択の難易度は高いですが、きちんとコーディネートのポイントを押さえれば誰でも素敵なミッドセンチュリーテイストの空間を作り出せます。興味を持った人は、ぜひ一度ミッドセンチュリー調の部屋作り挑戦してみましょう。

RE:daysでは、中古マンションを対象としたワンストップリノベーション事業を行なっており、ミッドセンチュリースタイルからモダン、コンテンポラリー等、お客様のご希望に寄り添った、「自分らしくいられるお部屋作り」をご提案いたします。
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