2023.08.30

今人気のリノリウムとは?床材に使用するメリットってなに?

リノリウムとは、ラテン語で亜麻と油を意味する、linum(アマ)とoleum(オレウム)が組みあわさってできた言葉です。1860年代にイギリスで開発されて以来、日本でも1920年に使用されるようになりました。

一度は衰退しましたが、環境意識の高まりにより、近年人気となっています。さまざまなカラーやデザインがあり、既存のインテリアとあわせて空間づくりが楽しめるのが魅力です。そんなリノリウムの特徴と、床材に使用した際のメリット・デメリットについて紹介します。

リノリウムとは

リノリウムとは、近年人気の天然素材でできた建材のことです。160年以上前にイギリスで発明されて以来、病院や学校などの公共施設やオフィス、店舗、住宅で使用されてきました。

とくに近年は、健康被害や環境破壊への関心の高まりから、身体に優しく、サスティナブルな床材として人気となっています。

主な成分は亜麻仁油で、石灰石やロジン(松から分泌される天然樹脂)、天然色素、コルク粉、木粉などの天然素材を混ぜ合わせたものを、麻の一種であるジュートでかためてつくります。

天然着色料で色付けすることにより、落ち着いた色合いから華やかな色合いまで、さまざまなカラーを実現しています。

また、主にシート状やタイル状のものが販売されており、木目調や大理石調など多様なデザインがあります。自宅のインテリアにあわせて、空間を多彩に演出できるのが魅力です。

しかし、現在一般的に流通しているものは、天然素材ではなくビニル系素材を原料としていることも多いので注意が必要です。

見極めるには、値段が安すぎないか、商品の名前のあとに調や柄がついていないか、原材料にビニルと書かれていないかを確認しましょう。リノリウムに似た素材として、クッションフロアや塩ビタイルもあります。

クッションフロアの違い

クッションフロアとは、塩化ビニル樹脂をはじめ、さまざまな非天然材料でつくられた建材のことです。CFシートと呼ばれることもあります。

表面に模様がプリントされており、クッション性が高く防水性が高いため、水回りによく使われています。リノリウムよりも安価で買えますが、耐久性が低いため、家具の下に敷くとへこんでしまう場合があります。

塩ビタイルの違い

塩ビタイルとは、ポリ塩化ビニルでつくられている建材のことです。クッションフロアよりもかたいため、耐久性が高いのが特徴的です。木目や大理石、タイル、モルタルなど、豊富なプリントデザインがあります。

安価で施工しやすく、DIYでもよく使用されています。熱に弱いため、床暖房のフローリングには向きません。

住宅でリノリウムが使用されている場所

リノリウムは、医療や教育、介護といった共用施設で使用されています。近年はひとや環境にやさしく機能性にすぐれていることから、一般住宅でもよく取り入れられるようになりました。

燃えにくいという性質を持つため、住宅内では主にキッチンの床材として利用されています。とくにキッチンは料理中に油が飛びやすく、食材が落ちる頻度が多いため、家のなかでもとくに汚れやすいスペースです。

リノリウムを使用している床なら、汚れてもさっと拭きとるだけで大丈夫なため、手入れが楽で人気の素材となっています。ダイニングやリビングといった場所も、ジュースや皮脂汚れなどで汚れやすいため、リノリウムの利用に向いています。

また抗菌作用を持ち、耐久性が高いため、トイレや洗面所といった場所にも最適です。すべりにくい素材なので、転倒防止対策として、子ども部屋やバレエ教室の床材にも採用されています。

床材をリノリウムにするメリット

今話題のサスティナブル素材である、リノリウムを床材にした際のメリットについて紹介します。あたたかなデザイン性だけでなく、機能性にすぐれているため、床材にすることで、理想の空間や暮らしの両方が実現できるでしょう。

環境に優しい

天然素材を原料としているため、ひとと地球にやさしい建材です。有害物質が発生しないので安全性が高く、シックハウス症候群対策にも有効です。

成分分解性を持つため、廃棄時は土に埋めれば自然に還るという特性を持ちます。そのため、通常建材を処分する際に発生する環境汚染物質が出ません。

お手入れしやすい

リノリウムは、お手入れがしやすい建材です。床はごみやホコリがたまりやすいため、毎日掃除しなければならないのが手間です。

しかし、リノリウムは、汚れがしみこみにくいという特性を持つため、ジュースや食べ物をこぼしてもさっと乾拭きするだけできれいになります。

表面がさらさらしており、静電気がたまりにくいので、指紋やホコリがつきにくいのも特徴です。特別なメンテナンスやクリーニングが必要なく、長い期間にわたり、清潔な状態を保てます。

滑りにくく歩きやすい

リノリウムは適度なクッション性と伸縮性を持つため、すべりにくく歩きやすいという特性を持ちます。近年は身体を動かしやすいことから、バレエの床材としても使用されています。

また住宅では、とくにすべりやすい場所である洗面所やトイレ、キッチンなどの水回りに使われています。子ども部屋やペットの移動スペースに、転倒防止対策として施工している例が多いです。万が一転倒した際も弾力のある素材のため、衝撃を吸収してくれます。

耐久性・耐火性が高い

リノリウムは、耐久性や耐火性が高い素材です。傷やへこみがつきづらいため、イスや机など家具の移動の際にも床を傷めません。約30年以上持つので、長期間使用できます。

発火にいたる温度が非常に高いため、燃えにくく、火事や延焼のリスクを抑えられます。そのため、火を扱うキッチンまわりの床によく使用されています。

抗菌作用がある

リノリウムの主な原料である亜麻仁油には、抗菌作用があります。ノロウイルスやA形インフルエンザに効果があると証明されており、実際に幼稚園や保育園、小学校などの教育施設で使われています。

人体に配慮された素材を使用しているため、床に座ってくつろぐスタイルを取っている方や、裸足で過ごすことが多い方におすすめです。脱臭効果もあるため、トイレの床にも最適です。

床材をリノリウムにするデメリット

ここからは、リノリウムを床材にする際のデメリットについて紹介します。以下の点に気をつけて、長くきれいな状態をたもちましょう。

価格が高い

天然素材のため、一般的な床材とくらべると、どうしても価格が高くなります。施工の難易度も高く、施工業者には高い技術力と経験が求められます。

そのため、リノリウムを施工できる業者が少ないのが難点です。床材に使用したい場合は、業者に施工可能かあらかじめ確認しておきましょう。

アルカリ性に弱い

リノリウムは、木粉やコルクなどの天然素材を原料としているため、アルカリ性に弱いという特徴を持ちます。

クリーニングやメンテナンスの際に、アルカリ性洗剤やワックスを使用してしまうと、表面を傷つける、または変色させてしまう可能性があります。お手入れの際は、アルカリ性のものは使わないようにしましょう。

紫外線で変色しやすい

リノリウムは、紫外線にあたると変色しやすいという特性を持ちます。日当たりのよい場所に施工する際は、床が色あせてしまう可能性があるため注意しましょう。外からふりそそぐ紫外線は、窓ガラスを透過し、床にあたって吸収されてしまうためです。

単板ガラスを使用している場合、UVカット率は約30%のため、多くの紫外線が床に吸収されることになります。複層ガラスでもカット率は約40%です。施工する際は、美観性をそこなわないためにも日当たりのよい場所を避けましょう。

独特のにおいがする

主原料に亜麻仁油を使用しているため、施工した場合に独特のニオイがするケースがあります。少しクセがあるので、ひとによっては苦手と感じるかもしれません。

しかし、健康上はなんの問題もないため安心してください。施工完成時はとくにニオイが充満しやすいですが、時間の経過とともに薄れていきます。気になる場合は部屋を換気し、新鮮な空気を取り入れることで、ニオイを軽減できます。

床材をリノリウムにする場合の注意点

床材にリノリウムを採用する場合は、気をつけておきたいポイントがあります。以下の注意点を読んで、長期間にわたってデザイン性と機能性をたもちましょう。

洗剤やワックスは中性タイプを選ぶ

リノリウムに含まれる木粉やコルクは、アルカリ性に弱いという特徴があります。アルカリ性が含まれる液体を使用すると変色しやすくなるため、洗剤やワックスを使うときは中性タイプを選ぶようにしましょう。

中性洗剤なら、酸性とアルカリ性の汚れを中和しながら、手垢や皮脂汚れを落としてくれます。

また耐久性をほこる建材ですが、表面が摩擦によりはがれてしまえば耐久性が落ちてしまいます。酸性とアルカリ性は刺激が強く床材を傷つけやすいという欠点を持ちますが、中性は刺激が弱いため床を傷めません。

洗剤を使う際は、液体を薄めて床にたらし、すぐに乾拭きしましょう。表面がすり減ってきた際は、中性タイプのワックスでコーティングして耐久性をたもちましょう。

紫外線対策をする

リノリウムは紫外線によって変色しやすい建材です。床のデザイン性をそこなわないためにも、紫外線対策を実施することをおすすめします。

たとえば、日のあたらない場所への施工です。すべりにくく、耐久性や耐火性にすぐれているため、あまり日のあたらない洗面所やキッチン、トイレなどの床の使用に向いています。

また日のあたる場所に設置したい場合は、紫外線をはじいてくれる窓ガラスの設置がおすすめです。Low-E複層ガラスや合わせガラスなら、紫外線を70〜99%軽減してくれます。

部屋の広さを表す単位に「帖」や「畳」があります。こちらの記事では、帖の読み方や意味、帖数の計算方法を紹介しています。あわせてご覧ください。

まとめ

リノリウムは、自然素材から生まれたサスティナブルな床材です。耐久性や耐火性にすぐれているため、約30〜40年と長持ちし、毎日の手入れも簡単に行えます。抗菌や脱臭効果を持ち、有害物質を発生させません。

しかし、紫外線に弱く、施工業者が少ないといった面もあります。施工の際は、専門家の意見も取り入れながら導入するかを検討しましょう。

リノリウムによる理想的な住まいを実現するなら、中古物件のリノベーションをおすすめします。近年は新築物件の購入価格は高騰しており、賃貸マンションではリフォームの自由度が低いことが難点です。

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